コスモスの財務は火の車だった

2011.11.18

委任状も法的には「一票」と数えられるが、住民自治の手段としてはいかにも軽い。自治意識の高いマンションは、重大な決定事項では議決権行使書の提出を求めている。建て替え派の団結力は固かった。大波が浜辺の砂山を削りとるように反対派は崩されていく。団地の運命を決する住民総会が、刻々と追ってくる。Sさんの危機感は高まった。そもそもコスモスは再建事業を託すに足る会仕なのか。会社の経営地盤はしっかりしているのか。コスモスありき、で突っ走る理事会に問い合わせても、「あんた、余計な心配せんでええ」と同じ答えが返ってくるばかりだ。

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Sさんは、大手の信用調査会社にコスモスの財務状況の調査を依頼した。リポートには、バブル崩壊後の景気後退の影響で業績がジリ貧、現貯金も減り続けているようすが、こと細かく記されていた。「企業評価」は「55点多少注意」であった。信用会社の間では「65点以上」が合格ラインとされている。上場企業は60点以上あるのがふつうだ。55点は高くない。コスモスは分譲販売戸数では業界八位だったが、事業主としての経験は浅かった。ある銀行の支店長は「70点以上でなければ融資対象にしない」と言う。コスモスの台所は「火の車」だった。